|家庭的な雰囲気の「もうひとつの家」
グループホームは、介護保険法で「認知症(痴呆症)対応型共同生活介護」と呼ばれ、初期から中期の認知症(痴呆症)の高齢者5~9人が家庭的な生活空間で、介護スタッフとともに食事の支度や掃除、洗濯などを共同でしながら、自立した日常生活を営むことを支援するサービスです。
こうした環境が認知症(痴呆症)のご高齢者にとって、認知症(痴呆症)の進行をゆるやかにし、何より安心して生活できる住まいであるとして、15年前にスウェーデンで試みが始まり、日本では近年制度化されたものです。
グループホームは住み慣れた自宅ではないけれど、家庭的な雰囲気のなかで時間がゆったりと流れ、スタッフにさりげなく見守られながら、高齢者がその人らしい人生を送っていることから、グループホームは「もうひとつの家」と表現されています。
|グループホームのメリット
1▶ 自立支援
グループホームの特徴はまず「自立支援」です。普通の服を着て、家庭的な雰囲気の中で、普通の生活をする。自分たちの食事はできるだけ自分で作る。
認知症(痴呆症)なのだから自分ではできなくなっていることももちろんありますが、ご入所者様は能力に応じて無理のない範囲でできることやって頂きます。
援助するスタッフは、たとえば寝そべっていらっしゃるご入居者様に何でもお世話してしまうのではなく、根気よく見守りながら、できるだけ日常生活のことを自分でしてもらいます。もちろん、ご入居の皆様に自らでやって頂くで方が時間も手間も多くかかってしまします。しかし、何でもお世話してしまうというのは一見親切のようで、実はご入居者様のためには良くないことだと考えるからです。
自分のことをできるだけ自分でやって頂くことこそが、リハビリになり、認知症(痴呆症)の進行を遅らせる効果があると考えるからです。
2▶ 小規模のケア
グループホームの入居者は「1単位9人」程度までに抑えられているのには合理的な理由があります。
認知症(痴呆症)のご高齢者は新しく出会った人を覚えることが難しく、長年一緒に暮らしてきた家族の名前すら忘れてしまわれます。
同じ部屋に大勢の患者がいて、看護師などの出入りが頻繁な病院のような環境では、認知性(痴呆性)のご高齢者が基本的な人間関係を結ぶうえで障害になってしまわれます。
こうした環境では認知性(痴呆性)のご高齢者は混乱され、問題行動を引き起こしかねません。さらに、このタイプのホームがグループホームと呼ばれるのは、スタッフがご入居者様にお一人おひとりにばらばらに向き合っていくのではなく、こうしたご入居者様同士の人間関係を尊重し、継続的なグループとして小さな社会を作って生活していくのを支援するという意味もあります。
そうすることでご入居の皆様は、いつも世話をされているだけの肩身の狭い存在ではなく、お一人おひとりが何らかの役割をおもちになることにより、ときにはご入居者様同士で助け合ったり、連帯感を持ったりということもでてきます。そのことも認知症(痴呆症)の進行を遅らせる効果があります。
大規模ケアでは認知症(痴呆性)高齢者は社会関係を作れないのです。
3▶ 個別性の尊重
グループホームには、台所と広いリビングルームがあります。その周りをご入居者様の居室が囲んでいます。また居室は全て個室になっています。これには認知性(痴呆性)ご高齢者独特の問題に対する実用的なメリットが大きいためです。
認知性(痴呆性)ご高齢者特有の「お財布を盗られた」といった妄想に誰かが陥られたとき、仮に同居の方がいらっしゃれば「さっき部屋の中にいたあの犯人」と疑ってしまわれるなどの問題が生じてきます。さらに、共同の居室で誰かが失禁し部屋を汚してしまったとき、他のご入居者様に迷惑をおかけることになります。そうした配慮から全室個室となっており、ご入居者様同士のトラブルをできる限り少なくし、安心してお過ごしいただけるようにしております。
「個室だと淋しいのではないか」と感じられる方もいらっしゃいますが、、個室では自分のプライバシーを守ることができ、みんなと話をしたければリビングルームに集うこともでき、むしろ生活のメリハリをつけることができます。ご入居者様同士でくつろげるリビングルームがゆったりと作られているのも、グループホームの特徴です。